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中学・高校受験:学びネット

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一宮女子高等学校

 
  「どうすれば幸せになれるか」を問いかける心の教育と実践力アップ
 
 一宮女子高等学校が全校あげての大きな学校改革に乗り出して2年。大手塾の模擬テストで30程度だった偏差値は、今年の春に50を上回る数値をマークした。
「偏差値を上げようとした改革ではないのですが、生徒のためにと考え、行ってきた様々なことが実を結び、結果として偏差値の向上につながりました」。
 現状を淡々と語るのは、改革の号令をかけた当時の教頭であり、現在は校長として一宮女子高等学校を率いる長野雅弘校長である。では、その行ってきた様々な改革とはどのようなものなのか。

校 長: 長野 雅弘
住 所: 〒491-0938 愛知県一宮市日光町6-1
電 話: 0586-45-2102
交 通: 名古屋駅よりJR9分・名鉄14分、JR尾張一宮駅・名鉄新一宮駅徒歩15分・専用バス5分
学生数: 617名 (2003.9.1現在)
ホームページ: http://www.ichinomiya.ac.jp/

 

心の教育の課題は 「どうすれば幸せになれるか」

『心の教育』や『人間教育』を旗印に、改革に乗り出している学校が多い中、一宮女子高等学校ではさらに一歩踏み込み、キャッチフレーズである「楽しくなければ学校じゃない!」を基軸として、生徒に学校の楽しさとは何かを考え、「どう生きていけば幸せになれるのだろう」と問いかける。その考えの基礎となるように、人生を2階建ての建物として表し、まずは社会生活の基本となる社会のルールや常識、マナーを建物の1階に例え、基礎として確立する。その上で、2階部分に当たる夢や希望を目標に置いた幸せの追求を行うという、2階建ての理論を実践しているのだ。
 1年では、何をしている時が楽しいかを生徒に問う。この答えでは、わかりやすく、生徒が十分に理解するまで行われる授業や、生徒同士のつながりを大切にした細やかな指導が行われているため、中学時代と比較して学校生活が楽しいと答える生徒が多数を占める。それが幸せのひとつであるとすると、ほかにはないだろうか、と考えを広げていく。こうして始まった幸せの追求と将来の目標について、2年は最も悩みの多い時期となる。立ち止まってしっかりと考え、前を向いて前進することを繰り返しながら幸せとは何かを模索する。3年生になれば目標は希望大学や就職に姿を変え、より具体的な幸福を追求するのだ。この学習は、教員と生徒1対1では成立しにくい面があるため、実社会を体験したり、少人数の生徒でグループを作り、その中で討論を行うことで、人との考え方の相違を知り、自らの道を整理していくような指導を行っているのだと、長野校長は語る。
「この幸せの追求や2階建て理論は、全校集会や教員の前でもよく話しています。特に教員には、自分たちもこの理論に乗って幸せの追求を行うことで、生徒への対応が変化していくと話しています」。

 教員を大切にすれば、教員は必ず生徒を大切にすると長野校長は話す。進学実績を上げるために外部の講師を入れるということはせずに、今いる教員のレベルを上げて対応させるため、教員は日々勉強を重ねているが、生徒を生活の中心においている限りは当たり前のことだそうだ。それが教員のやりがいなのだから。
「私の就任時には新しい教頭というだけで目線を反らしていた教員が、今では自分の意思を表現し、真っ向から討論してくるようになった。これは教員の意識が変化し向上してきた証拠だと思います」。
 教員も生徒も含め、「幸せの追求」を行う一宮高等学校。その指導が学校全体の意識を変える大きな改革を成功させた要因のひとつであると言っても間違いではない。


具体的な学習計画で 校内指導も家庭学習も充実

 一宮女子高校の学習は「面白くなければ授業じゃない!」というもうひとつのキャッチフレーズに表れているように、「わかりやすく、わかるまで徹底的に」を基本として行われている。
 各教員が生徒の習熟度とその日の授業に合わせたオリジナル教材を毎回配布し、完全に理解できるまで指導は根気よく行われる。また、現在の小・中学校では教わる機会が減ってしまった基礎学力を補うために、指導内容を20の項目に分けて具体的に表した。また、家庭学習についても、どう進めていけばよいかわからずに悩んでいる生徒の道標になるようにと、A~Dの手順を表記したものを渡している。
「授業が十分に理解できて、学習方法がわかれば学力がアップしていきます。しかし、せっかく覚えたり理解したことがあるのだから、自分がどれだけ覚えたかを誰かに伝える機会がほしいと願うのが人間というものでしょう。そのために、毎月国数英社(社会は一般常識)を各プリント2〜4枚にして行う学習コンクールを開催し、優秀な学生は表彰しています」。
 この学習コンクール、受験対象は生徒だけではない。そのテストを作成した教員以外は全員の教師が受験し、自分の現在の学力を試す場となっている。そのため、教員全員がコンクールが近くなると、自らの勉強に勤しむ姿が校内で頻繁に見られるのだという。
 また、朝10分、昼5分の反復学習が毎日行われているが、その時にクラシックや映画音楽などの曲が校内にかかる。
「最初は、反復学習の時間であることを生徒に知らせるために始めたのですが、これが意外にも生徒の集中力アップと精神を落ち着けるのに役に立ったのです。良い音楽は脳内に働きかけるため、早さと正確さ、それに量をこなすことを求められる反復学習にはぴったりだったのかも知れません。このため、朝一番や昼の休み明けの授業は他に類を見ないくらい静かにそして真剣に授業を開始することができています」。

 こうして様々な改革に成功し、生徒の活気が上がってきたために自然と学力もアップしてきたのだと語る長野校長だが、現在、頭を悩ませている課題がひとつだけあるという。それは、生徒の学力の向上による全体的なレベルアップに原因があった。
「このまま行けば、遠からず偏差値が60近くになることは間違いないでしょう。もちろん、それに伴って入学希望者もレベルが上がってきます。そうすると、本当に一宮女子高校に入学したいと思っている生徒が、学力面で入学できないことも起こりうるのではないだろうかという懸念はありますね」。
 それでも、一宮の教育方針に感銘を受けて入学した生徒は、どこまでも伸びることができるし、どこまでも伸ばせる自信があると語る長野校長。その急激な成長に各方面からの取材もひっきりなしに行われており、来年の入試時には、有数の注目校となることはまず間違いないと思われる。

 
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