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中学・高校受験:学びネット

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静岡学園中学校・高等学校

 
  遠隔授業を新たな強みに
ICTを駆使し、新しいフェーズへと進化
 「だけじゃないチカラ。」をキャッチフレーズに、勉強だけでなく色々なことに興味関心を持ち、チャレンジ精神溢れる生徒が集まっている静岡学園中学校・高等学校。新型コロナウイルスの影響で、休校措置が取られた期間、学校が一丸となって取り組んだのはZoomによる「遠隔授業」だ。この間に培ったノウハウを生かし、オンラインを使った新たな試みもスタート。遠隔授業を新たな強みとして、今後も活用していく予定だ。新しいフェーズへと進化を遂げた同校の今を、鈴木啓之校長と教務部情報管理課長の渡邊尚先生にインタビューした。

校 長: 鈴木 啓之
住 所: 〒420-0833
静岡県静岡市葵区東鷹匠町25
電 話: 054-200-0191
交 通: JR「静岡」駅から徒歩20分または自転車で6分、しずてつジャストライン「静岡駅―横内町静岡学園入口」6分乗車、バス停から徒歩4分、静岡鉄道「音羽町」駅から徒歩8分
生徒数: 288名(中学校)
1,007名(高等学校)
ホームページ: https://www.shizugaku.ed.jp

 

「1時間でも教えたい」
遠隔授業をスピード実現

 「1時間でも教えたい」。3月2日に全国の小中高校に休校要請が出され、さらに休校が延長される中、静岡学園中学校・高等学校の先生たちは、少しでも授業ができる方法はないか模索していた。

 「4 月8 日の水曜日に先生方にZoomを導入するという話をしました。10日の金曜日には、スマホへのZoomのインストール方法を高校生にレクチャー。13日の月曜日からZoomを使った朝夕のHRを実施することを決定しました。8日からの2日間、職員室の景色は今までとガラリと変わりましたね」。そう話すのは渡邊尚先生だ。

 今まではそれぞれでデスクワークをしていた先生たちはグループになり、どう遠隔授業を行うか研究が始まった。14日には高校でZoomによる双方向授業がスタート。16日からは遠隔教育期間用の時間割での授業にまでこぎつけた。

 Zoom導入の提案から、時間割に沿った授業が可能になるまで、たったの1週間。スピード感を持って実現できた理由を、鈴木啓之校長はこう話す。

 「本校は平成23年に移転し、新校舎になってから10年目となります。その時から、先生方には非常勤の先生を含めてiPadを貸与し、生徒の出席管理などをiPad上で管理していました。先生方がiPadの使い方に非常に慣れていたのが、要因の一つです」

 さらにオンライン英会話での経験も役に立った。英会話を始めた3年前は、教室にもWi-Fi 環境を整えていたものの、生徒が一斉に利用すると通信量が追いつかず、視聴覚室や図書館などに移動して授業をすることもあった。その反省からWi-Fi 環境の整備を進めていたため、双方向での授業をスムーズに実現できたのだ。

寮の生徒にも配慮
第2波に備える体制を構築

 Zoomによる双方向授業の方法は黒板を使った講義形式や、Zoomの画面共有機能を使う形式など、先生によっては様々。生徒の目の疲れなども考慮して1時限30分ほどにし、生徒への連絡はGoogle のClassroom を使って行った。

 「先生方は最初『Zoomの授業か、まいったな』と感じていたかもしれません。しかし、やってみると思った以上に使いこなせることがわかってきたと思います。先生によってはZoomで授業を行い、Classroom で課題を提出させ、丸つけして返す。全部オンライン上で行っている先生もいました」と渡邊先生。

 昨年「第98回全国高等学校サッカー選手権」で日本一に輝いたサッカー部を中心に、自宅外生が200人ほどいる同校。寮などで通信環境が整わない生徒には、学校に来てiPadを使って遠隔授業を受けたり、ポケットWi-Fi を貸与したりするなど、生徒の状況に合わせて臨機応変に対処した。

 また、通信環境が悪くてうまく授業が受けられなかった場合でも、Zoomではクラウド上に録画した授業を後からURLにアクセスし、見ることができるというメリットもあった。

 ゴールデンウィーク中にも、高校生を対象に理科と社会の授業を行い、中学生への遠隔授業はゴールデンウィーク明けから本格的に導入。生徒たちは休校中も学びを止めることはなかった。

 鈴木校長は「保護者の方からは、『いち早く対応してもらえたので、安心しました』という声をいただきました。学校は再開しましたが、今後どうなるかわかりません。万が一の時に備える手段として、この遠隔授業の体制を整備できたことは、保護者や生徒の安心にもつながったと思います」と話す。

新しいアイデアが次々と
オンライン職業講話を開催

 遠隔授業を行ったことで、新しい発想も生まれた。

 これまで「SGT(SHIZUGAKU GOLDENTIME)」として多様な学びの時間を設け、企業講座や大学講座も開講していた同校。休校により実施できなくなったが、「ならばオンラインでできないか」と、「オンライン職業講話」が誕生した。

 色々な職業の人から話を聞くサービスを提供している「TEAM SWYKCAREER PROJECT」の廣瀬拓哉さんに依頼し、獣医師の唐澤迪子さん、「うんこ漢字ドリル」で有名な文響社で働く翻訳書の編集者の関美菜子さんらを講師に迎え、それぞれオンラインで生徒に向けて話をしてもらった。

 「私も試聴しましたが、非常に面白かったですね。この方法なら全国から色々な方の話を聞くことができる。授業以外にもZoomが使えることがわかり、これが今後大きな武器になると思いました」と鈴木校長。ほかにもインフルエンザで出席停止になった時などにも、オンラインが活用できるのではないか、と考えている。

 6月1日から学校が再開され、笑顔で生徒が登校してきた。オンライン授業の手応えを感じた反面、「対面の授業のありがたみ、フェイスtoフェイスで授業ができることの価値を先生方は感じたのではないでしょうか」と鈴木校長。

 部活動や生徒会活動においては、大会や行事の多くが中止になっている。「そうした生徒の気持ちのケアもしないといけないと考えています。学校生活の中で、何か達成感を得られるようなものを用意できたらと考えています」と話している。

静岡学園の校歌と寮歌の作曲家は
朝ドラ「エール」の古関裕而さん

 静岡学園の校歌と寮歌を作曲したのは、NHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルとなった古関裕而さん。校長室には古関さん直筆の「静岡学園高等学校 孝友寮寮歌」の楽譜と、校歌の「悠久の空の富士が嶺」の一節が書かれた色紙が飾られていて、校長室から生徒へ静かにエールを送っている。今回お話を聞いた渡邊先生は静岡学園の元寮生。「今でも寮歌は歌えますよ」と話してくれた。

 
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