8年で築き上げた教育理念を
再点検し、さらに深化
新静岡駅から電車で二駅。静岡における夏祭りの先駆けとして知られる駿府清水寺にちなむ「きよみずさん通り」を北へ進むと、新旧入り混じった店舗が連なる商店街がある。その商店街の先に見えてくるのが静学だ。静学の東側には緑豊かな谷津山を望むことができる。
正門をくぐると、五大陸と七つの海をイメージしたという明るく清潔な中庭キャンパスが眼前に広がる。ひときわ目をひくのが3本の「智恵の木」だ。東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)から植樹した記念樹で、科学の夢を育み、実現する象徴として生徒の成長を見守ってきている。
また、教育棟2階エントランスには、『人格という土台の上に真の教養を創造したいものはこの門から入れ』という文言が掲げられており、生徒たちは毎日、キャンパスや校内にちりばめられたさまざまなメッセージや刺激を受け取りながら生活している。
「静学の中学校・高等学校(以下 中高)では移転を機に、新しい教育ビジョンに基づく中高一貫および新学科『教養科学科』による教育をスタートさせました。新しい静学になって8年目。この間に築き上げた教育活動を再点検する中で、理想とする理念に一歩でも近づけたらと思ってます」と鈴木校長は語る。
「今まで培ってきたものをさらに深化させていくためにも、今年度は足元を固める組織づくりに邁進します。 一昨年から1年に2回『教科指導力育成研修』として外部のベテラン講師を招き、各教科での研修を行っています。若手や初任者教員にはメンターをつけて手厚く指導に当たるなど、若手教職員の資質向上を目指し、実践的な指導力の強化に努めています。生徒や保護者に『静学に来て本当によかった』『楽しくて、有意義だった。3年、6年過ごして成長できた』と言ってもらえるように組織としても個人としても先生方の持てる力を思う存分発揮してもらいたい。また、学校法人新静岡学園として大学機関も有していますから、力を結集し“オ―ル静学”として中高の力をブラッシュアップしていきたいと考えています。」と力強く続ける。
高い志を身につけ人間力を高める
6つの特別プログラム
鈴木 啓之 校長
日本初という「教養科学科」では、大学入試改革を見据え、基本教科の知識を確実にマスターするだけでなく、自ら考え論理的に分析し、これまで学んできたことを統合する力を養うことが目的だ。そして「問題解決能力」や「新たな知を創造する力」を深め、社会貢献への使命感と行動力を身につけ、自らの夢実現に向けた大学進学を目指している。
静学では、ただ知識を積み上げるだけでなく、知ること、学ぶこと、人のためになることの喜びを知るために、本物を見たり、モノづくりに挑戦するなど、さまざまな体験を通して知的好奇心を刺激することを何よりも重視している。高い志を身につけ、人間力を高める【特別プログラム】を用意しているのが特徴だ。
同校の教員を始め、大学教員や地元企業の社員を招き、専門的な講座を行うSGT(SHIZUGAKU GOLDEN TIME)、日本の伝統文化継承プログラム、全校ボランティア活動、インターナショナルプログラム、総合的な学習塾の時間「緑風塾」、地域共生活動の6つの特別なプログラムを用意している。
「ある者は部活で頑張る、将来日本代表として日の丸をつけて頑張る。それもOK。東大を目指す、医師になろうと医学部を目指す、それもいい。部活だけじゃないし、受験だけじゃない。力を発揮する分野は自由です。さまざまな体験をして個性を磨き、自分の人生観や価値観を持った人材になってほしい。大学はステップとして考え10年、20年後、いかに社会で輝いて活躍するかです」と鈴木校長は語る。
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多様なプログラムを通じて、
それぞれが思い描く未来へ
教科ごとの知識を生徒に教えるだけでは伝えられない大切な部分がある。実際、世の中にある課題は、単に教科の知識だけでは解決できないことばかりだ。分野にとらわれない大きな視点で問題の本質を見定め、さまざまな知恵を使って解決の糸口を探っていく。それこそが静学が求めている「真のエリート・リーダーの育成」なのである。
「真のエリート・リーダーという表現ではわかりづらいかもしれません。要は、人の役にたてたことを自分の喜びと感じられること。何が貢献なのか、その中で自分を見出すことなのです」と鈴木校長は話す。
目まぐるしいスピードでテクノロジーが進化し、社会が変化してゆく時代だからこそ、今、生徒にとって大切な授業を日々アップデートし、多彩な教育コンテンツの仕掛けや環境を整えている静学。地域の商店街や自然環境、学園内の設備や施設、そして社会、ひいては世界へとつながり、そのすべてから学んでいけるように、実にきめ細やかな仕掛けが随所にちりばめられているのである。
今後は、英語の授業の中でオンライン英会話を導入し、外国のネイティブの方と好きな会話ができるシステム導入も準備中だ。
第一志望への現役合格を目指す一方で、多様なプログラムを通じて、それぞれが思い描く3年後、6年後とその先の自己実現に向けた教育は、さらに深化していくに違いない。
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