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中学・高校受験:学びネット

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近畿大学工業高等専門学校

 
  大学並みの教授陣が支える 100%の進学・就職率
 
ピーク時には1,200人の生徒が在籍していた同校が、いったんは閉鎖の危機に直面しながらも学校改革に乗り出したのは5年前。今年、国立大への15名の編入学をはじめ、希望者全員が進学を果たした。就職希望者は6.6倍という高い求人率の中で、官公庁や有力私企業への就職を決めた。改革は大胆な人事刷新と堅実な産学官連携事業を柱に、給付奨学金制度、コース制の見直しなど多岐にわたる。

校 長: 神野 稔
住 所: 〒519-4395 三重県熊野市有馬町2800
電 話: 0597-89-2011
交 通: 天王寺から「特急スーパーくろしお」で新宮へ 新宮からJR気勢本線で「熊野市」駅下車 タクシー 名古屋からJR「南紀号」で「熊野市」駅下車 タクシー
学生数: 910名 (2005.9.1現在)
ホームページ: http://www.ktc.ac.jp

 

大胆な人事刷新と 地道な産学官連携

現在からさかのぼること43年前の1962年、当時の文部省が高専制度を初めて導入したその年、近畿大学工業高等専門学校は産声を上げた。創設者は、近畿大学の世耕弘一初代総長である。即戦力のある技術者養成を謳い文句に集まった生徒はピーク時には1,200人を数えたが、その数は徐々に減り、募集停止、学校閉鎖をも考えざるを得ない事態に陥った。
この時、事務長として学校運営にかかわってきた神野稔氏は現在、校長に就任し学校存続に関わる危機を、まずは大胆な人事の刷新で乗り切る考えを示した。当時、同校の教員の平均年齢は55歳。34歳未満の教員は一人もおらず、教員の高齢化が進んでいた。そこで早期退職制度により58歳以上の教員を対象に勧奨退職を募り、組織の若返りを図ったのだ。
現在、博士25名、修士13名、学士11名、技術士2名が指導に当たっているが、いずれの教授も国内外で幅広く活躍した経歴の持ち主だ。また、NTT、関西電力、松下電器産業、東芝、沖電気、みずほ情報総研,フジタ、ミノルタカメラなどを出身母体とするトップクラスの先端技術開発者や特許取得者、一級建築士なども多い。海外での経験も豊かで、おしなべて英語力が高い点も注目に値する。神野校長は「実質的に大学並みの教授陣です」と自信を見せる。

これら大胆な人事刷新による改革を行う一方で、同校は地元との産学官共同研究事業に地道に取り組んできた。学校閉鎖が現実問題となった際、地元は学校存続を強く望んだが、そういった当時の経緯が現在の“地元密着型への学校改革”を形として打ち出させた。これまで取り組んできた共同研究で産業界と連携したものは「高菜生産の省力化」「生ゴミの堆肥化」「独居老人安否確認システム」「那智黒石製品開発」「半導体シミュレーション技術開発」など。自治体や警察など官庁との連携分野では「バス運行調査」「42号線追突事故調査」「障害者、高齢者との共生型街づくり」などで、地域に貢献する研究事業に高等教育を上手く連携させてきた。

産学官共同研究は成果が目に見えやすく、生徒にとっては自分たちが社会的に役立っていることを実感することができ、自信を得てその後の探求心や意欲の向上に結びついていく。優秀な研究で実績を上げた教授には、研究費を補助金制度として支給しており、指導する側の意欲向上にも積極的に取り組む。

こうした研究事業も人事刷新で優れた教授陣を採用したことで実現したことは言うまでもない。学校改革の推進により2000年、100名程度だった入寮生は今年度300名にまで増え、高等学校から4年生への編入も例年、80名〜90名に達している。

学業、スポーツ成績に応じ 魅力ある給付奨学金

授業料は高専での5年間のうち、1〜3年次は比較的授業料を抑えて38万円、4〜5年次は87万円とする2段階方式をとっている。学業成績優秀者には給付奨学金制度を導入したのも改革の目玉だ。本科なら主要5教科の評定が平均4.1以上の生徒に対しては年15万円が支給される。同様に4.5以上なら年25万円、4.9以上なら年35万円が給付され、生徒の励みになっている。

専攻科への入学については学業成績平均が80点以上の学生について、年15万円、同様に85点以上なら25万円、90点以上なら35万円、95点以上は60万円がそれぞれ給付される。

また、学業成績だけでなくスポーツ推進校でもある同校は、部活の種類を問わず県内ベスト8以上の成績を修めた場合は、生徒個人に年15万円を給付する。保護者の期待も熱く、大いに応援するためスポーツ成績は向上しているという。ちなみにスポーツ指導者も▽柔道部は段位6段▽ソフトテニスは学生王座準優勝者▽陸上競技では三段跳び東アジアジュニアチャンピオン▽サッカーは全日本大学選手権大会3位▽高校野球は全日本大学選手権優勝と指導者として3度の甲子園出場経験者と、実力派ぞろいだ。

充実の5年間で 広がる進路

今年度より「総合システム工学科」をスタートさせ、1〜2年次は基礎的な一般教養科目の学習を積み上げ、3年進級時に機械システムコース、電気・電子コース、情報通信コース、都市環境コースの中からコース選択を行うシステムとした。
1〜2年次の標準プログラム以外に希望者には近畿大学推薦編入学・専攻科推薦入学、国立大学一般編入学、国公私立大学推薦編入学の選択プログラムも提供される。3年次からの専門コースに進んだ後も、英会話やTOEIC、ドイツ語、中国語などを学ぶ語学特別講座や、ワード、エクセルをはじめパワーポイント、ホームページ、映像作成について学ぶ情報特別講座などを開設している。

高専での特徴として「4〜5年生でも担任制を採用しているため、授業を欠席すれば担任が下宿や寮まで様子を見に行きますから、授業をサボるなどということはありません。結果として、しっかり授業に取り組むので学力がつくんです」と西謙二校長補佐は話す。

来年度はさらにコース改革を進め、情報通信コースを情報コミュニケーションコースとし、コンピュータグラフィックスなどの表現技術、コンピュータネットワークの利用法などに力を入れる。建築デザインコースも新たに設置し、都市創造系のコースを2コースに増やす。これら女子に人気の高いコース設置で、進路選択の幅を広げる考え。

今年度の各大学への編入合格状況は▽長岡技術科学大学工学部7名▽豊橋技術科学大学工学部3名▽三重大学工学部1名、生物資源学部1名▽鹿児島大学工学部1名▽岐阜大学工学部2名(以上国立大)▽近畿大学理工学部11名、生物理工学部6名▽立命館大学理工学部2名▽関西大学情報学部2名など私立大学へ27名。西校長補佐は「来年は国立へ25〜30名は送り出したい」と自信を見せる。

就職状況は今年度の希望者74名に対し、276社、488名の求人が寄せられた。JR東海、JR西日本、国立印刷局、京セラ、大阪ガス、三菱重工、関西電力、ダイキン工業、王子製紙など大手企業を中心に100%の就職率を誇る。

進学、就職実績を見れば、改革の成果はすでに現れ、成功をおさめたといえる。だが、来年以降、さらに期待させる躍動感が同校には感じられるのである。

 
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